●移動ドと固定ド●

佐波 聖樹 筆


移動ドと固定ドの話に入る前に、音名と階名について説明を簡単にしておきます。

440Hzの音を「A4」とする標準音を基準としたときのドレミファソラシドの音階。これが音名です。
つまり音名は(純正律で)
「264Hz,297Hz,330Hz,352Hz,396Hz,440Hz,495Hz,528Hz」という周波数に割り振った名前です。
もっと単純に言えば、音名は絶対的な音の高さを表すものですね。

対して階名というのは、ある音を基準にドレミファソラシドの音階をつくったときの名前です。
つまりは「全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音」という
ドレミファソラシドの音階に割り振った名前です。


では、移動ドと固定ドについて話をします。

移動ドはドが音名に対して移動すること。固定ドはドが絶対的な音の高さで固定されていることです。
というのが、本来の言葉の意味だと思います。
しかし、合唱の現場では、たいていの場合、移動ドというと移動ド唱法、固定ドというと固定ド唱法をさします。

では、移動ド唱法、固定ド唱法とは何か?
簡単にいうと、移動ド唱法は階名で歌うこと、固定ド唱法は音名で歌うことです。
本来、階名で歌うことは階名唱法というのですが、
ドが音名に対して移動することから、移動ド唱法とも呼ばれます。
また同じく、固定ド唱法も音名で歌うことから、本来は音名唱法といいます。

固定ド唱法は絶対的な音の高さでもって歌うものですから、
絶対音感を持った人はこちらの唱法になるだろうと思います。
そのため固定ドのことを絶対音感のこととして言う場合もあるようです。
また、それに対して移動ドは相対音感のこととして言う場合もあります。

固定ド唱法(音名唱法)、移動ド唱法(階名唱法)のどちらにも長所と短所はあります。
固定ド唱法(音名唱法)には、本来の音の高さなどがわかるという長所と、
ドの位置が変わらないので、譜面からドレミが読み取り易いという長所があります。
しかし、ドレミが分かってもハ長調以外の場合には正しい音がわかりずらいという短所があります。

対して移動ド唱法(階名唱法)には、音階感を活用してドレミから音取りが容易であるという長所があります。
しかし、本来の音の高さがわからない、
また、ドの位置が変わるので譜面からドレミを読み取るのが難しいという短所があります。


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