●平均律●

中山 健太 筆


オクターブを12の幾何平均半音に等分割された音階。
全ての半音間で、その周波数比は 1:2^(1/12) となる。
(ここで x^y は xのy乗 を示す。すなわち2^(1/12)は2の12乗根を示す)

どの音からでも音階が始められる。すなわち、転調が自由にかつ容易に行える。
ゆえに、ピアノなどの鍵盤楽器に採用されている。

理論としては17世紀に完成。
J.S.Bachが"The Well-Tempered Clavier"(平均律クラヴィア曲集)を書いて普及した。
転調、移調が容易な反面、純正律に比べると長・短3度や長・短6度のずれが大きく響きが悪い。

補足1.なぜ算術平均でなく幾何平均か?
それは人が感じる音は周波数が高くなるほど鈍感になる。
つまり、高音になるほど1Hzの違いは理解できないのである。
そして、周波数が2倍になった音は同じように聞こえたから、1オクターブは周波数2倍と定めた。
そして1オクターブの中に12種類の音を当てはめることとなった。

補足2.なぜ12種類?
虹が7色に見えるのは日本人がその色を識別する識別子として7つを与えたから。
実際には「の中間色」、「の中間色」などの色も含まれている。
ただ、それに名前を与え、識別していないだけである。
極端な話、虹は「暖色」と「寒色」の2色で構成されているといっても間違ってはいない。
それと同じく、音の12種類に固有の識別子を与えた。
だから12種類なのである。要するに定義したといえる。

補足3.なぜ平均律は出来た?
さて、平均律の便利なところは転調、移調の容易性と書いた。
仮に広い半音と狭い半音が交互に積み重ねられ1オクターブを構成していたとすると、
全体を半音上げた時に、元の調では最初の半音は広かったのに、
移調後の最初の半音は狭いという事態が起こる。
その音を基準に新たに広い半音、狭い半音を積み重ねれば、解消される。
だが鍵盤楽器ではその2つの調を演奏するのに、2つの鍵盤が必要となり、汎用性が失われる。
全ての半音の間隔が等しければ移調はスムーズに行える。

つまり平均律とは和音の調和を捨て、汎用性を重視した調律法と言える。

補足4.平均律の間隔
1:2^(1/12) という比率はどうやって求まるのか?
1オクターブが2倍の周波数、その中に12の半音を入れる。
高音になれば1Hzの価値が変動する。
だから全ての音の間の比率を等しくすれば問題ない。
CからCisにx倍、CisからDにx倍、…、HからCにx倍
と続けていくとCから1オクターブ上のCまでx倍を12回することになる。
x倍を12回 とは x^12倍をするということである。
そして1オクターブは2倍と定められているから、
x^12 = 2 という式が導出される。
(x^12)^(1/12) = 2^(1/12)
x^(12/12) = 2^(1/12)
x = 2^(1/12)
と求まった。

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