●神廣講座5●
〜音階・調〜

神廣 憲記 筆


音楽の授業などで一度は「ヘ長調」とか「変ロ短調」とかいう言葉を聞いたことがあると思います。
が、何のことやら・・・という人が意外に多いですよね。
でも、そんなに難しいことではありません。
(以下、ドイツ音名を中心に用います。適宜ハニホ・・・やドレミ・・・も使います。)

1.音階
音階とはつまりドレミファソラシド・・・のように高さの順に音を整理したものです。
西洋音楽の調性音楽では、長音階短音階があります。

2.長音階

これはCDEFGAHCという音階ですね。
E-F間、H-C間は半音でそれ以外は全音ですね。
つまり
Cから始まって「全全半全全全半(ドレミファソラシド)」という関係で、最終的にCに行き着いていますね。
この「全全半全全全半」という関係にある音階を長音階といいます。
この場合C(ハ)から出発しているので
ハ調長音階(またはハ長調)」あるいは「C-dur(ツェードゥア)」と呼ばれます。(重要!
すなわち、今の例ではCが出発点でしたが、出発点の音を変えればいろんな長音階ができます。
たとえば、Gを出発点にしてみましょう。

ところがこれでは、「全全半全全半全」となって最後の二つがおかしいのでFをFisに変えます。


これで「全全半全全全半」のできあがり。
すなわち「ト調長音階(ト長調)」or「G-dur」です。
このG-durの場合、長音階の出発点の音はGですね。
出発点の音を主音(第I音)といいます。
また第IV音(G-durの場合C)を下属音、第V音(G-durの場合D)を属音、第VII音(G-durの場合Fis)を導音と呼び、以下の性格・働きを持ちます。

主 音・・・音階の起点であり、その音階を代表する最も重要な音。曲の多くは主音を持つ和音から始まる。
属 音・・・主音の上方、完全5度の音。主音を強くサポートする。
下属音・・・主音の下方、完全5度の音。強い働きはないが属音を補助する。
導 音・・・音階の第VII音で、次の主音と短2度(半音)の関係にあって、次の主音に強く行きたがる。

もうひとつ重要なことを言っておきますが、主音と第III音の関係が長三度ですね。この第III音が長三度であるという関係は長音階の重要な特徴です。

3.短音階

AHCDEFGAと並んでいますね。「全半全全半全全(ラシドレミファソラ)」という関係の音階です。
これを自然(的)短音階といいます。
この場合はA(イ)から始まっているので「イ短調」あるいは「a-moll(アーモル)」と呼びます。(重要!また、○-durの時は○には大文字で始まるドイツ音名が入りましたが、●-mollの場合は●には小文字で始まるドイツ音名が入ることに注意。)

#問題「fis-mollを示しなさい」
 →正解を見る

自然的短音階にも前項「長音階」で述べた主音(I)・下属音(IV)・属音(V)は存在していますが、第VII音が次の主音と長2度(全音)の音程関係にあるので、導音になっていません。
これを解決するために、第VII音を半音高めて導音にすることがあります。

こういった音階は「全半全全半(全+半)半」という関係にあり、和声的短音階といいます。下降時も同様の音階が使われます。
しかし和声的短音階ではVIとVIIの間が増二度(全音+半音)となって歌いにくく、西洋音楽としては受け入れにくい雰囲気があるため、VIIへ導くVIをさらに半音高めた旋律的短音階が作られました。

「全半全全全全半」という関係ですね。
ただし旋律短音階は「歌う」ために作られたので、旋律が下降するときは導音の必要性がなくなります。よって下降形においてはVIもVIIも原型にもどるので、下降音階は自然短音階になります(下図)。

まあ、いろんな短音階がありますが、
短音階の最も重要な特徴は第T音−第V音が短3度であることです。

現役の皆さんはまず「自然短音階」が「全半全全半全全」であること「短音階では第I音−第III音は短3度」であることを理解すれば十分です。

4.調号
これで長音階、短音階の説明は終わりました。
ためしに自分でいろいろな音を主音に持ってきて、長音階と(自然)短音階を作ってみてください。
そうすると、それぞれの音階によって♯や♭が付いた音がありますね。
ところが、曲を書いているときに、いちいち臨時記号を書いているのはメンドクサイ・・・ということで


のように、音部記号(ト音記号、ヘ音記号etc)と拍子記号(3/8、4/4etc)の間にまとめて書いてしまいます。これを調号といいます。
調号をつける順番は決まっていて、
♯系は

のように左からFCGDAEHの順番(例えばAにつけるためには必ずFCGDにも付いていなければならない)
♭系は

のように左からHEADGCFの順番(例えばAにつけるためには必ずHEにもつけなければならない)
自分でいろいろな長音階・短音階を書き出してみることで「Cにだけ♯が付いてFにはつかない音階。AとEに♭が付いてHとAにはつかない音階」などは存在し得ないということがわかると思います。
また、同じ調号がついていても長音階一つと短音階一つに対応しており、さらにその短音階はその長音階の短3度下(例えばa-mollはC-durの短3度下)であることが発見できると思います。




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